株式会社を設立するには、定款に事業目的を記載し、登記が必要です。
会社の目的は原則自由に決めることができますが、営利目的を達成させるための事業のことですから、適法性、営利性、明確性が必要です。
昔の商法では目的の具体性も必要とされていましたが、新会社法では要求されていません。
しかし、あまりに抽象的すぎる事業目的は会社の信用性からしても好ましいとは言えず、また銀行融資の際など様々な場面で事業目的の確認はなされるため、具体的な目的を定めておくほうがいいでしょう。
さらに、許認可の必要な事業の場合は、会社の目的に記載されていることが必要ですから、事前に確認を行い、あとで目的の追加変更などが発生しないようにしましょう。
目的は公序良俗に反しないことはもちろんですが、その他法令の制限をうけます。
たとえば、弁護士法、など法律で資格の制限がある場合。
税理士法、司法書士法、行政書士法、弁理士法などもそうです。
官庁にその許認可や免許申請をするには定款に目的が記載されていなければならない。
たとえば、建設業許可、宅地建物取引業免許、貸金業登録、古物商許可、運送業許可、人材派遣業許可などがあります。
上記で説明しましたが、法令の制限で資格の制限のある業種や違法な目的は認められません。
わかりやすいものでは、許可を受けていない債権回収業務、登記業務のように司法書士の独占業務など。
麻薬の取引とか、賭博、売春、なども当然だめです。
目的の意味が、普通の人に理解できないようでは不適切です。
第三者が見てわからないようなものはだめです。
株式会社は、利益をあげて株主に分配することが最終目的です。
ですから、ボランティア、寄付などといった目的は営利性がありません。
株式会社設立時、定款には将来行うことになる予定の目的も入れておくことはよくあります。
新たに事業を展開するたびに、目的変更登記をするのはコストがかかるからです。
目的の数に制限はありませんので、好きなだけ事業目的を記載してもかまいません。
ただし、あまりに無関係な事業目的をたくさん入れすぎると、第三者が登記事項証明書を見たときに、行ったに何をやっている会社かよくわからない、といったことになりかねません。
金融機関から融資を受ける際にも疑問を持たれかねません。
新たに他の会社と取引を始めたり、出資を募る際にも、です。
事業目的は、その会社を判断するうえでも重要な材料のひとつになることは覚えておいたほうがいいでしょう。