新会社法になってから、合同会社という新しい形態の会社が誕生しました。
合同会社の設立件数は年々増加しています。
知名度としてはまだまだ株式会社には及ばないものの、合同会社には、株式会社にはないメリットがいくつかあります。
これから会社を設立する方は、株式会社よりも合同会社を選択したほうがよい場合もあります。
合同会社設立の流れ自体は株式会社設立の場合とほとんど同じです。
定款の認証が不要であることと、登録免許税が安いのが異なります。
合同会社を設立した後に、株式会社に変更することも可能です。
合同会社には、以下のような株式会社にはない特徴があります。
1.会社設立費用が安い
2.株主総会や取締役会などの機関がいらない
3.原則、出資した人が経営に携わる
4.出資した人が平等
5.役員の任期がない
6.決算公告をしなくてもよい
7.利益配当についての純資産額の規制がない
株式会社には、最低限株主総会と取締役という機関を置く必要があります。
合同会社にはそういった機関を置く必要はなく、出資した人が原則業務を行うことになります。
一人で会社を設立するとしても、株主総会、取締役は必要です。
もっとも、一人で会社を作る場合、株式会社でも合同会社でも、実質的に運営において差はないかもしれません。
株主総会を開くと言っても、株主も一人なのですから、開催するも何も一人で全部決めればいいからです。
合同会社は、会社を持つ人と会社を実際に運営する人は、基本的に一致します。
株式会社のように、所有と経営が原則分離しません。
株式会社は、会社に出資して株主になったとしても、実際の会社運営は、能力のある役員に任せることができます。
その代わり、株主総会で役員がちゃんと会社を運営しているのか、役員を誰にするのかなど意見を言うことになります。
合同会社は、会社の所有と経営が一致するので、会社の決断がとても機動的です。自分たちで物事を決め、会社内部のことも自由に決めることができます。
株式会社の場合、会社が大きくなり、実際に株主総会を開くとなると、その準備や手続は煩雑ですから、そういったメリットは大きいでしょう。
俗に、所有と経営の一致と言われます。
出資した「社員」は原則として業務執行権を持ち、社員が各自会社を代表することになります。
ただし会社を代表する社員は、定款で代表社員を定めたり、定款で定めることで社員の互選で決定することもできます。
さらに、定款で業務執行社員を定めることができます。社員が2人以上あるときには業務の執行は過半数の決定にでおこないます。
株式会社の場合、原則として出資と経営は分離されます。出資した人は経営に参加せず、出資した人が選んだ人が経営を担当します。
株式会社でも合同会社でも一人あるいは数人で会社を設立し、事業を始めた場合はどちらも所有と経営が一致していることが多いので、実際さほど差はありません。
少人数の株式会社であれば、株主総会といっても事務所で集まって話をすれば終了といった程度です。
株式会社と違って、一人につき1議決権があります。
株式会社の場合、原則1株式1議決権なので、株式をより多く持っている人の意見が通りやすくなります。
合同会社での重要事項の決定は、社員全員の同意が必要ですから出資金額の少ない社員が排除されることはありません。
さらに、株式会社は出資額に応じて配当を受けるのですが、合同会社は定款に記載すれば、出資比率に関係なく配当を受けとることができます。
例えば、どれだけ会社の利益に貢献したかなどに応じて配当することが可能です。
業務執行社員、代表社員には任期がありません。
株式会社の場合、取締役の任期は最低2年、定款で最大10年まで伸ばすことができますが、任期が満了すれば、同じ人が継続して取締役を続けるにしても役員変更登記が必要になります。
合同会社の場合任期がありませんので、あらたに社員が増えたり減ったりしない限り役員変更登記は不要です。
合同会社の場合、利益配当について、株式会社のように純資産額が三百万円を下回る場合にはできないといった規制がありません。